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人生充実しているマウンティング

 社会人になって気づいたことがある。それは、一定以上の上の世代というのは「俺の方が苦労している」「俺の方が忙しい」というマウンティングをしてくるということだ。不幸自慢というのは子どもがやることであって、私などは二十歳くらいを境にそんな子供じみたことは卒業したのだが、いまだ十分成熟していない人が多いらしい。

 なぜ子供が不幸自慢をするかというと、自分が世界の中心だからだ。自分が世界で一番苦労していて、自分が世界で一番忙しいと思っている。他人の状況へと想像力が及ばず、「あなたもあなたで大変ですね」という意識が上がってこない。今の世の中、それぞれの人がそれぞれの事情を抱えていて、それぞれに大変で忙しい。そこへの想像力が働かず、自分だけが大変だと思っているのである。

 まあそういう成熟の問題は別として、このようなマウンティングが有害であるのは、あたかも苦労していることや忙しいことが一種の美徳のように思われていることだ。確かに昔の世代は仕事第一主義だったから、苦労していることや忙しいことは賞賛すべきことだったのかもしれない。

 だがもはや時代は変わった。今は、いかに仕事も家庭も趣味も充実しているか、その人生を楽しく有意義に充実したものとして過ごしていることに価値が置かれている。だから、マウンティングをするなら、「俺の方が人生充実している」とするべきである。というかマウンティングなど所詮すべてくだらないのだが、もしするとするなら「人生充実しているマウンティング」をするべきである。

 「自分の方が大変だ」マウンティングをしてくる人は、大変さを美徳と考えてくるから他人にまで大変さを強制したりしてくる非常に迷惑な人だ。例えば残業を強制したりするのがこのタイプの人間である。そういう強制には断固ノーと言って、「あんたは大変かもしれないが俺は人生充実しているのでね」とでもマウンティングをとっておこう。古い価値観の人間には決して屈せず、現代の価値観で押し切っていくべきである。