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原俊彦『サピエンス減少』(岩波新書)

 日本だけでなく世界全体もいずれは人口減少に直面し人類は消滅に向かっていくという見取り図を提示する衝撃の本。人口学の専門家が著した本なので信憑性は高い。20世紀後半から22世紀にかけて、世界人口はアジアの世紀からアフリカの世紀へと入れ替わっていく。もっとも人口増加が進むのは後発開発途上の国々であり、中進国・先進国の人口は急速に減少する。その変化を支えるだけのアフリカの経済発展が必要である。また、国際人口移動をなるべく自由にしない限り、人口減少はより加速化するため、移民の受け入れなどは急務である。

 人類の歴史は終わってしまうかもしれない。そんな衝撃の事実を提示する本であり、これは読む人の人生観や世界観を変えてしまうのではないだろうか。もちろん人口を維持することも可能かもしれないが、少子高齢化が進むのは日本だけでなく全世界の潮流でもあるのだ。人類の未来について考えなければいけない時が来ている。