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木村忠正『デジタルネイティブの時代』(平凡社新書)

 質的研究と量的研究を掛け合わせて行われたデジタルネイティブの研究。デジタルネイティブとは、デジタル技術に青少年期から本格的に接した世代のことで、1980年前後以降生まれの世代のことである。デジタルネイティブのコミュニケーション特性は、①空気を読む圧力、②対人距離を構成する「親密さ」と「テンションの共有」が相互に独立し、「テンションの共有」のみによる「親しさ」への志向、③「コミュニティ」「ソーシャル」とは異なる「コネクション」という社会原理の拡大、④サイバースペースへの強い不信感、低い社会的信頼感と強い「不確実性回避傾向」である。

 2012年に発表された研究であり、若干古くはあるが、今でも十分通用する議論がなされている。かなり先駆的な研究だったのではないか。ちょうど私もデジタルネイティブ第一世代なので、そこで分析される自分たちのコミュニケーション特性にうなずくところが多かった。さらに世代が下っていくにしたがって、どんどん今の若者のメンタリティに近づいて行く様が見事である。