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自由意思の有無による手続の分類

 私的な紛争処理、調停、仲裁、裁判の分類を、当事者の自由意思の観点から試みてみる。当事者に自由意思があるかどうかは、(1)紛争解決手続きを始めるか、(2)解決の内容をどうするか、(3)解決の内容に同意するか、という3つのレベルで問題になる。

(1)私的な紛争処理では、手続を始めるかどうか、内容をどうするか、内容に同意するか、のすべてのレベルで両当事者に自由意思がある。

(2)調停では、手続を始めるか、内容に同意するか、について当事者の自由意思はあるが、内容をどうするかは調停者に委ねられていて、当事者に自由意思はない。

(3)仲裁では、手続を始めるかどうかについては両当事者に自由意思はあるが、内容は仲裁者が決め、その内容に当事者は拘束されるので、内容をどうするかと内容に同意するかについては当事者に自由意思はない。

(4)裁判では、原告にのみ手続を始める自由意思があり、被告は応訴が強制されるため手続を始める自由意思がない。内容や内容に対する同意についても両当事者に自由意思はない。