本書は中高生を相手になされた政治学の講義の記録である。「異なる者同士が共にいること」を政治の出発点として、共にいることの諸態様、友人関係であるとか弱いつながりであるとかについて論じたり、異なる者同士の意思決定の在り方、民主主義や選挙や多数決以外の意思決定方法などについて論じたりしている。
全般的に、現代の世界や日本が直面している状況を巧みに織り込みつつ、社会がどうなっているのかという知識も詰め込みながら原理論にアプローチしている。文体は非常に読みやすく、難しい言葉を極力使わず、聴くものに寄り添う形になっている。
中高生が教室に集まるだけで発生する政治というものから一国の政治に至るまで、その講義の内容はダイナミズムに満ちていてとても面白い。政治学の知識を持っている人でも、改めて政治の第一歩から始めることができる。良書である。