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憎しみ

 学問を愛しているうちはまだ半人前なのだと思う。学問を深く知れば知るほど、学問を憎む材料がたくさん見つかってくる。私はまだその段階に達していない。ただ、学問は楽しい、学問は認識を深める、学問は自分に合っている、そう思っている。私はまだ学問を知らないのだ。

 例えば、私は学問にこだわっているからこそ、この歳にもなって不安定な身分にいるのだ。学問は、それに携わる人間を社会的に不安定にさせる。さらに、学問的なアプローチではそもそも生身の人間や社会というものはとらえられないのではないか、という批判もあるだろう。学問ではなく文学でなければ語れないこともあるのではないか。学問は理性や概念に傾きすぎ、感情や観念を退ける。そこに学問の限界があるのではないか。

 無理に学問を憎む必要はないが、ただばかみたいに「学問が好きです」と言っているようでは私もまだまだだな、と思う。