社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

個人の尊厳

 個人の尊厳とはいうが、「尊厳」とは幾分大袈裟なのではないかという気もする。そんなに個人って偉いものなのだろうか、と疑問を感じている。かといって集団に尊厳を認めようとするわけでもなく、単純に、「自分に尊厳がある」と言えるほど、私は私のことを愛せていない。いや多分震災の疲れだとは思うのだけれど。友人にも、「自己愛なんてありませんよ」「幸福なんて諦めています」という人もいるし、「自分は全くだめな人間だと思う」「生きてるだけで他人の迷惑だ」という人もいる。つまり、誰もがみな、「個人の尊厳」を高らかに唱えることに賛同するわけではないということを言いたい。むしろ、自分の尊厳を肯定できない人が今数多くいるのではないかと思う。不幸な世の中ではある。元気に、強気に、自らの尊厳を主張できる人は幸福な人間だ。自らの尊厳を主張できるほど自分を愛せていない人が、今は数多くいる。これは困った事態な気がする。