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共謀と契約

 お互いに意思を通じ合って何らかの結果を目指すという意味では、刑法の共謀と民法の契約に変わるところはない。ただ、目指す結果が異なる。共謀は法益の侵害を目指し、契約は互いの利益を目指す。だから、意思連絡が未遂に終わったときの効果も異なってくる。共謀が未遂に終われば、着手がなければ基本的に不可罰だし、着手があれば責任が軽減される。共謀は不利益を目指しているから、その未遂は共謀者の責任を軽減するのだ。一方で、契約は利益を目指しているから、それが未遂(債務不履行)になれば、一方当事者は責任を負うことになる。