地球温暖化問題の現状を踏まえたうえで、環境政策の必要性を理論的に説き、その中でも炭素税に照準を当てて将来の制度化に期待している。
環境税の導入を考えたとき、既存のエネルギー課税を活用する方法と、新税を新設する方法が考えられる。既存のエネルギー課税は特定財源となっているため、それを活用するのは既得権益を強化することになる。
新税として炭素税を導入すると、(1)税収が多額、(2)輸入段階の課税だと税収の8割が原油・石炭から得られる、(3)消費段階の課税だと都市ガス・電気を含みエネルギー源が多様化する。
ただし、炭素税には逆進性があるので配慮が必要、そして中立性を担保し目的税化は避けなければならない、行政費用や経済成長にも配慮が必要である。
本書は環境税特に炭素税についての理論的背景及びメリット・デメリットを詳細に論じた本であり、この一冊を読んだだけで炭素税のことは非常によくわかると思う。さらに経済学理論による分析は環境経済学によりなされているようなので、そちらの関係の書籍も読むと理解は深まりそうである。