社会科学読書ブログ

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前野隆司他『幸福学×経済学』(内外出版社)

 

  会社の経営で一番大事なことは、利益を確保することよりも社員の幸福である。社員が幸福であれば自然と利益も確保される。そういう理念に則って、では幸福とは何かを科学的に分析していく。

 幸せを因子分析すると4因子あり、それぞれ①「やってみよう!」因子(自己実現と成長)、②「ありがとう!」因子(つながりと感謝)、③「なんとかなる!」因子(前向きと楽観)、④「ありのままに!」因子(独立と自分らしさ)である。これらをそれぞれより多く備えている人がより幸福(well-being)である。

 社員一人一人の幸福とは別に会社や組織全体の幸福度を因子分析すると3因子あり、それぞれ①「いきいき」因子(今の仕事自体に喜びや楽しみを感じる)、②「のびのび」因子(互いを尊重し合う自由闊達な社風でのびのび仕事ができる)、③「すくすく」因子(自分の成長を実感できる)である。

 本書は会社経営における幸福を科学している。個人の感じる幸福と会社の幸福について、膨大なデータを分析することで核となるモチーフを抽出している。確かにここに挙げられているような条件を満たしていれば社員は幸福に仕事ができ、それが会社全体の幸福につながり、顧客満足度や利益にもつながっていくのだろう。とても参考になるいい本だった。