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人不足は何が困るか

 現在日本の様々な職場で人不足が深刻である。職場の人員不足により、職場に何が起きて、職員に何をもたらすか整理してみたい。

 私が近ごろ配属された部署では、係長を含め4人定員だがそのうち2人病休という状態である。例えばそのような実際の経験をもとに考えてみよう。

 まず、仕事の負担増。休んでいない職員は当然休んでいる職員の分の仕事もやらなければならない。そうすると、心理的にも身体的にも残された職員には負担が増えるのである。そして、残された職員は自分の仕事に割く時間が削られてしまう。本来自分がやるべき仕事が他人の仕事により圧迫され、進みが悪くなってしまうのである。

 そして、マネジャーがマネジメントできなくなる。今やプレイングマネジャーは当たり前の存在となっているが、そもそもマネジャーはマネジメントに専念できるのが望ましい。だが、人員不足の職場ではマネジャーはプレイングマネジャーどころかほぼプレーヤーとなってしまう。そうすると、平社員としてはますます仕事がやりづらくなる。ホウレンソウしようにもマネジャーは実務で多忙であるためなかなかつかまらない。また、平社員はマネジャーの意思決定を経ないとそれより上へとは仕事を持っていけないが、マネジャーが実務で多忙であると自分の仕事についてのマネジャーの意思決定がなおざりになり、ますます自分の仕事を先に進められなくなる。平社員は自分の仕事にマネジャーを巻き込みづらくなるのだ。

 そうすると、職場はどんどん疲弊していき、残された職員も体調不良やメンタル不調を訴え始める。実際、私などはこの先職場はどうなるのだろうという不安の発作に襲われたことがあるし、マネジャーの方でも、疲労困憊し、慢性的な体調不良や頭痛に悩まされている。とにかく、人員不足は残された職員の心理的身体的負担をかなり増やし、同時に残された職員の焦りや不安、悩みなどを生み出す。ここから病休の連鎖が起こっても何ら不思議ではないし、実際私の職場では病休の連鎖が起こる寸前である。

 ここからは、もはや現場の判断ではなく経営サイドの判断になってくると思う。だが、経営サイドでは現場がどこまで困っているか完全には把握していない。実際に職場の疲弊が限界に近づいてようやく重い腰を上げるというのがよくあるパターンではないだろうか。だから、現場の方でも遠慮なく経営サイドに自分たちの困り具合を訴えるべきである。人員不足のままでは組織目標すら達成できない恐れがある。それは経営側でも困るのである。組織目標の達成すら危ういことを現場サイドから訴えるしか手立てはないのではないか。