社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

中原・金井『リフレクティブ・マネジャー』(光文社新書)

 

  マネジャーの学びと成長について書かれた本。これは何も中間管理職だけでなく、ヒラの社員にでも十分通用する話である。人は内省することで成長する。つまり、この仕事はどういう意味を持っていて組織の中でどんな位置づけを持っているか、などについて反省的に考えて理解する、自分なりの持論を持つことで成長していく。その成長は個人の業績のみならず組織の業績をも高めていく。だが、単純に持論を持てばいいという話ではなく、持論と棄論は盾の両面となっている。持論は他の理論や変化する環境と照らしあわされて柔軟に変化していかなければならない。また、そのような内省の助けとして越境していくことも重要である。異業種の人と話をする、勉強会に参加するなどして、自らの所属する組織を相対化していくことで内省はさらに深まっていく。

 本書は人材育成における内省の重要さについて書かれた本である。経営学や教育学の専門的な理論も出てきたりして読みごたえは十分にある。いろんな働く人にお勧めしたい本であるが、私も早速内省を実践したくなってきた。自分の携わっている仕事についてまとめてみる、その意味合いや位置づけについて整理してみる、そんな作業が大事なのではないか。