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城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)

 

  いい大学に行っていい会社に就職すれば、年功序列のレールに乗って自動的にやりがいのある仕事にたどり着ける。その年功序列システムが今崩れつつある。若者の使い捨て、中高年の切り捨て、ジョブ型の浸透、若者たちは今や一生やりがいのない単純作業を強いられる可能性が高くなってきた。

 もはや年功序列のレールに乗れる人は限られている以上、その他大勢にとっては自分が本当にやりたいことを見極める必要がある。働く理由とは何か。何によって自己実現できるか。それによって、今いる組織に見切りをつけて転職したり起業したりする必要性が出てきている。若者が3年で辞めるのは我慢が足りないからではない。将来に期待できない組織に見切りをつけて自己実現を図ろうとしているからだ。

 本書は、昭和的な年功序列システムが現代においては崩壊していることを主張し、その年功序列が崩壊した組織においてどのように振舞ったらいいかについて示唆を与えてくれる。一生涯単純労働でいいのか。もっとやりがいのある仕事はたくさんある。そうやって辞めていく若者たちへのシンパシーにあふれる書物だ。いろんな人にお勧めしたい。