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新世代の若者たち

 私は曲がりなりにも所属組織では若手のつもりでいたし、若手職員の世代を幾分代表しているような気持にもなっていた。だが、最近の新入社員を見ていると、私などもはや若手ではないということに気付く。最近の新入社員は私などよりもっとドラスティックに現代の生き方を体現している。そんな新入社員を見て、私なんかは幾分苛立ったりしているのだから、もはや私は変化を恐れる老害に過ぎないのかもしれない。
 最近の新入社員を数人観察したところ、まず、人とのつながりを必要最低限に絞っている人がいる。事務的な話はするが、出張しても一緒にご飯を食べない、飲み会に参加しない、イヤホンをつけている時間が長い。仕事はしますけど俺の領域に入り込むな、というオーラをビンビン出しているのである。私などは割と誰とでも仲良くなろうと努力する方だが、彼らにとってはそのような情は不要なのだ。極めてドライで離群的である。
 次に、上下の意識が希薄な人がいる。組織の中での地位が高い人にまでフランクに馴れ馴れしく接してしまう人が普通にいる。私などは組織に入ったときにまず叩き込まれたのが上下関係だったが、今はそのような教育をそもそも受けていないようなのだ。だが、割と偉い人たちは彼らに寛容であり、時代は変わったと感じざるを得ない。
 また、自己肯定感が強い人がいる。今の時代の若者は褒めて育てられた若者である。理由なく自信を持ち自己愛が強い。私などはけなされて育った世代なので自己評価が低く、根拠のない自信をなかなか持てないのだが、彼らは理由もなく自分を肯定できて遠慮なく他人の非を攻撃する。
 さらに、勤労意欲が弱い人がいる。週休三日にしてほしいとかバカンスが欲しいとか真顔で言ってくる。まさにワークライフバランスを体現するかのような発言であり、明らかに時代の価値観は変わっている。私などは仕事にやりがいを見出す方であるが、彼らにとって仕事は苦痛でしかないようだ。
 以上、最近の新入社員を見るにつけ、もはや私の世代ですら老害であると感じる。私の価値観は比較的新しいと思っていたが、時代はもっと先に進んでいた。これからの働き方改革は、こういった若手たちの価値観を汲んだうえでないと絶対に成功しないと思う。