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魂の断捨離

 結構前から断捨離がはやっている。本当に大事なものだけ残してあとは捨てていきましょうという考えである。これはモノだけでなくて、自分の考え方についても当てはまるのではないか。要するに、必要最低限のこだわりだけ残して、余計なこだわりは捨てていこう、というのが魂の断捨離だ。

 最近は時代の変化や社会の多様性、また違う世代との交流が容易になったことなどが重なって、自分の狭い価値観にこだわっていると、時代の変化に取り残され、社会的に孤立し、違う世代との交流に支障が出てくるようになった。

 もちろん自分の価値観も大事だ。それこそ価値観が多様な世の中なのだから。だがそこに必要以上にこだわりを持ってしまうことがリスキーになってきたのだ。自分の考え方はこうなのだからこれ以外ありえない、そうやって他人に自分の価値観を押し付けているとすぐさま「老害」と認定されてしまう世の中が到来したのだ。

 私も最近、若い世代と接触して、今の若い世代が昔ほど「教養」や「思想」を重視せず、「世界」とか「社会」とかにこだわりを持っていないことに気付いた。今の若い世代は生活を大事にしていて、そこでの小さな物語の積み重ねを大事にする。

 そこで気づいたのだ。この若者に「もっと教養を積まないとダメだよ」とか「もっと社会的意識を持たないとダメだよ」と自分の価値観を押し付けてはいけないということに。私もまたそこで魂の断捨離を行った。もはや「教養」や「思想」を第一に考えてはいけない。私自身はそれを追及していくけれど、それは相対化し、他人に押し付けないようにしなければ。つまり、「教養」や「思想」への過度なこだわりを断捨離したのだ。そうすることで、若い世代とも円滑にコミュニケーションできる。

 変化が早く、多様性に富み、他の世代との交流が増えてきた世の中、必要とされるのは魂の断捨離だ。余分なこだわりを極力捨てることだ。