社会科学読書ブログ

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健康書を読む理由

 私は最近健康に関する本を結構読んでいる。私ももう中年であるから様々な健康上のリスクを抱えており、仕事や趣味・家庭生活を効率よく営んでいくためには健康障害を避ける必要があるからだ。疲れやすい、寝つきが悪い、胃腸の具合が悪いなど、中年になると様々な健康上の不具合を生じてくる。それらをなるべく解消していき、効率よく幸福な生活を営むため、健康書を読むのは合理的である。

 だがそれだけではない。健康書は医学の入門書のようなものである。我々は健康書を読むことにより初級の医学を学んでいるのだ。そこにはたくさんの発見がある。今まで人体について知らなかったことが次から次へと明らかにされ、医学専攻でない人間にとっても人体について科学的に知る喜びが与えられる。

 そして医学というのは人間というものに対する一つの解釈の体系だ。我々の知的好奇心は様々な領域に及ぶ。その中で自らに最も身近なのは自らの身体であろう。自分の身体について体系的に解釈するということについて、医学ほど優れた道具立てはないのである。人間はだれしも世界を解釈するという壮大な営みを行っている。その中で自らの身体を解釈するという営みについて強力な道具立てが医学なのであり、その初級編が健康書なのである。そういう意味で私はこれからも健康書を読んでいくであろう。