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知の血管

 私は様々な領域に関心を持っていて、日々読書を重ねたりウェブで情報を集めたりしている。また実際に自らが仕事や生活をしていくうえで経験することも多い。それらの行為は総じて、この世界に「知の血管」を張り巡らす行為である。

 私は時間について多くを学ぶ。特に歴史書においてそうである。太古から連なる人間の時間について、知識を張り巡らすことで血管を張り巡らす。例えば第二次世界大戦の記録を読み解くことなど時間という領域にどんどん血管を通していく行為である。

 私は空間について多くを学ぶ。特に国際関係の本や他国の文化についての本においてそうである。世界の広い空間について知識を張り巡らすことで血管を張り巡らす。例えばイスラーム文化について学ぶとき、私は空間という領域にどんどん血管を通していく。

 私は形而上について多くを学ぶ。特に哲学の本においてそうである。具体的事実よりも理論について学ぶとき、私は形而上の世界に血管を張り巡らしていく。例えばスピノザの思想を学んだりするとき、私は形而上の領域にどんどん血管を通していく。

 そして、たいていの本は時間・空間・形而上、いずれの領域にも血管を通すことに役立っている。特に文学作品はそうであり、それはある種の美的空間のようなものにも血管を通していくことになりそうだ。つまり、自らに感銘を与えるものを発見していくこと、新たな感動を受けること、それによって美的空間にも血管は張り巡らされる。

 このようにして、時間・空間・形而上・美的空間について、私は動脈・静脈・毛細血管を張り巡らせていく。そのことによって、私はそれらの領域に活力を与え、同時にそれらの領域から栄養素などを摂取する。理論的な柱や大きな見取り図は動脈や静脈、細かなティップスは毛細血管に対応するだろう。このようにして、私は常々自らの小さな身体を拡張し、大きな領域へ血管を通し、活力を得、また活力を与え続けている。

 多元的な世界に知の血管を通すこと。これが私のインプットについての考えである。