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蟹江憲史『SDGs』(中公新書)

 

SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書)

SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書)

  • 作者:蟹江 憲史
  • 発売日: 2020/08/20
  • メディア: 新書
 

  環境・経済・社会を統合するものとして、持続可能な社会を作り出すために2015年の国連総会で加盟国全部が同意した世界の未来像であるSDGs(sustainable development goals)。その詳細について書かれている。

 SDGsは17の以下の目標からなり、国際団体、政府、企業、自治体など多様なアクターがその実現に向けて努力している。

①貧困をなくそう、②飢餓をゼロに、③すべての人に健康と福祉を、④質の高い教育をみんなに、⑤ジェンダー平等を実現しよう、⑥安全な水とトイレを世界中に、⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに、⑧働きがいも経済成長も、⑨産業と技術革新の基盤を作ろう、⑩人や国の不平等をなくそう、⑪住み続けられる街づくりを、⑫つくる責任つかう責任、⑬気候変動に具体的な対策を、⑭海の豊かさを守ろう、⑮陸の豊かさも守ろう、⑯平和と公正をすべての人に、⑰パートナーシップで目標を達成しよう

 ついに世界も危機感を抱き始めたか、というのが正直な感想である。経済優先で環境汚染を繰り返す工業社会はもう終わりを告げた。それは持続可能でないからである。それだけでなく、社会的にも貧困や差別などをなくしていく目標が掲げられている。対立や軋轢などを生み出す構造を克服していく営みが始まっている。また平和や構成といった倫理的な課題もあり、およそSDGsは総合的な目標である。これには拘束力がないが、宣言されただけで十分な効果を持つ。実際日本でも様々なSDGs認証制度が出来上がっている。地球の未来は少し明るく見えてきた。