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勤務時間中のスマホ

 かつては、勤務時間中に携帯電話をいじっていると職務専念義務に違反するとして懲戒処分を受ける可能性すらあった。だが、スマホの高機能化により、勤務時間中にスマホを操作することが必ずしも職務専念義務に違反することにはならなくなっているのが近年の状況である。

 携帯電話の私的利用についても、必要な限度において容認する判例がある。確かに勤務時間中であっても家族からの急を要する連絡に対して応答できないとするのは理不尽である。我々は会社時間だけを生きているのではなく、生活している生身の人間だ。生身の生活している人間としての側面は勤務している間も残っているわけであり、生活について必要な連絡等についてスマホを操作することは必要である。仕事中だかといって緊急事態に応答できないようであれば家族失格である。

 また、スマホの操作が業務を遂行するにあたって必要であり便利である局面も多々生じている。一番よく使うのが検索サービスであろう。業務中、必要な情報を調べるのに職場のパソコンを操作するよりスマホの方が迅速で確実な場合が多い。情報検索において特にスマホの操作を制限する必要はない。

 そして、業務連絡にスマホを使うことも多くなってきた。ラインやSMSなどのサービスを用いて業務上の連絡をすることは簡便であり特に緊急時には有効である。パソコンは長文を作成するのに適しているが、立ち上げるのに時間がかかり、設置されている場所も限られているので、迅速に連絡を取りたい場合はスマホに連絡を入れた方が有効なのだ。

 勤務時間中、生活のために最小限の連絡を取ること、または業務上必要な操作や連絡のためにスマホを操作することはもはや職務専念義務違反とは言えないのではないか。一律にスマホをいじっていると仕事をサボっているとみなすのはもはや時代遅れだ。スマホはそこまで勤務時間に入り込む存在となっている。