社会科学読書ブログ

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ロベール・ヌービュルジェ『新しいカップル』(新評論)

 カップルについて網羅的に記述している良書。カップルは、お互いに神話を共有することで成立する。共通の属性や共通の体験などがカップルの神話に組み込まれ、カップルの結びつきを強固にする。人がカップルを作るとき、単に相手方に執着するだけでなく、カップルという小社会にも執着する。カップルは秘密を共有する一方、外部からの見え方にも配慮を払う。

 カップルの破局などの際に行われるカップルセラピーの専門家によるカップル論である。家族論とも結婚論とも一味違う、親密さで結びつけられた二人の集合体についての緻密な議論であり、読んでいていろいろと勉強になった。数多くのカップルを臨床的に観察してきた著者ならではの網羅的な記述がとてもよかった。