- 作者: 菅野盾樹
- 出版社/メーカー: 産業図書
- 発売日: 1999/05
- メディア: 単行本
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本書は、様々な哲学者の思想を縦横無尽に利用しながら、著者自身の意見を論争的に導き出して、「人間学」という領域を作り出そうとしている。
ところで、人間とは何か、人間学、について考えるとき、人間が社会と相互作用していること抜きではいられない。人間を「ホモ・シグニフィカンス」、つまり象徴作用を行う存在として捉えるとき、そこには社会的に形成された象徴の体系が前提とされているのだ。同じように、人格とは何かと考えたとき、それは社会が人格をいかにしてとらえているか、その歴史的変遷をも考慮に入れなければならない。子供と大人との関係を考える時も、それは権威とその受容者という社会的関係に置き換えられるし、性差というものも社会的に構成される。
つまり、本書が明らかにしているのは、人間について考える、人間を探求するにあたって、純粋に人間のレベルだけで言説を閉じてしまうことは不可能であり、そこには常に社会との相互作用というモメントが欠かせないということである。