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笹尾俊明『循環経済入門』(岩波新書)

 循環型社会から循環経済への移行を唱える書。日本の循環型社会とEUの循環経済(サーキュラーエコノミー)では、ともに天然資源の効率的な利用や廃棄物・環境負荷の削減を通じて持続可能な社会を実現しようとしている。だが、循環経済は3R推進にとどまらず、製品の供給網や消費スタイルを見直し、経済の仕組みを再設計する成長戦略である。循環経済は廃棄物をめぐる産業の育成・創出を目指している。

 日本でも、資源の再利用、発生抑制、リサイクルに関して様々な立法がなされている。だが、それを超えて経済のシステムとして廃棄物の循環を取り込もうというのが循環経済の意図するところである。廃棄物の循環を経済の外部としてではなく、経済成長、産業の成長につながるものとして考えようということ。確かに、ここにはイノベーションの余地があるし、ビジネスチャンスが眠っている。面白い本だった。