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復興の現場で

 私は平成28年度から3年間、福島県の相双地方で主に復興工事にかかわる仕事をした。この度の人事異動で、同じ相双地方ではあるが現場とは離れた仕事となるので、少し今までの3年間の現場での仕事について思うことをまとめておきたい。

1 復興はまだまだ道半ば

 復興は着実に進んでいる。例えば海岸の堤防建設などはほとんど終わりが見えているし、終了した工事は数えきれないほどある。一方で、帰還困難区域については先行きが見えない状況にあり、放射性物質とどう戦っていくかという課題はまだまだずっと先へも残る。復興はまだまだ道半ばであり、これからも膨大な人たちが膨大な仕事量を投入していかなければならない。

2 人々の気持ちは前向き

 原発事故によって被害を受けた人々と接する機会が多かったが、彼らは特段被害者面をしていず、むしろ日々の生活を当たり前に楽しんでいる。もちろん、彼らの心には消えない傷が残ってはいるが、だからといっていつまでも意気消沈しているわけではなく、未来へ向かって着実に希望を持っている人がほとんどであった。これは希望の持てることである。

3 復興の現場で働くということ

 復興の現場で復興を推進していくためには、後ろ向きであってはいけない。これは強く思ったことだった。くだらない私情などで互いに足を引っ張り合ってはいけないのは言うまでもないし、お互いに信頼関係を築いて少しでも復興を進めていくよう前向きに仕事に向かう姿勢を持たなければいけない。
 大事なのは誠実さと柔軟さである。復興の現場という忙しい環境の中でいかに効率よく仕事をするかということを考えた場合、職場環境を良くし、旧来の思い込みにとらわれず、新しい考え方を積極的に取り込んでいくことが求められている。経営学などの知見を積極的に吸収し、そのうえで法令順守に努め、とにかく物事を前に進めていく、粘り強く課題を解決していく姿勢が求められる。