地域衰退の現状と理由、対策についてコンパクトにまとまっている本。
60~70年代にかけて、農林業など基盤産業が衰退した地域の中で産業の交代が起きなかった地域では、その後人口減少と高齢化が起きた。他方で、大都市や県庁所在地などでは事業所サービス業が新たな基盤産業として発展し、他地域の人々の消費をひきつけ発展している。こうした都市以外では、サービス経済化といっても医療・福祉が中心で他都市へと波及していかない。地域外へ生産物を移出し、地域外から所得を得る基盤産業が衰退した地域が衰退する。地域外から所得を得られる地域が衰退しないのである。
大都市への人口集中は経済的な合理性はあるが、その弊害も早くから指摘される一方、抜本的な解決策はいつまでも先送りされている。その中で地域は疲弊していき、人口減少や高齢化で悩まされている。地域への分権・分散を抜本的に行う必要性を感じるが、最近では地方暮らしの若者や若者の地方定着志向に注目が集まっている。このデジタル社会においてもはや大都市へ移住する必要はなく、地方へと分散し地域特性を生かしていくことが求められていると感じる。