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今井悠介『体験格差』(講談社現代新書)

 子どもの学校外の体験に格差が存在しているという問題を指摘している。放課後のスポーツ・運動、文化・芸術や、休日の自然体験・社会体験・文化的体験において、親の所得や住んでいる地域によって格差が生じている。例えばシングルマザーの子どもは貧困ゆえに習い事に通えないなどの事情が生じていて、それが結局は子どもの社会情動的スキル・非認知能力の発達に格差を生じさせている。

 子どもの発達において体験の果たす役割は非常に大きい。体験によって子どもは発達するため、体験が貧弱だと子供の発達が不全になる。そのような格差は、社会階級の格差により固定化されつつあり、貧困の連鎖の一側面の様相を呈している。このような社会問題があるということはよく認識できた。