日本で歓迎的に受容された哲人ドラッカーの評伝。ドラッカーは早くから企業の社会的責任や労働者に対する責任を説いていた。1959年には『変貌する産業社会』を出版し、そこでは、20世紀におけるモダンからポストモダンへの移行が理論化されていた。近代合理主義から脱近代合理主義へ、資本主義からポスト資本主義へ、国民国家からグローバル社会へ、理性から知覚、科学からアート、分断から統合、階層から協働、単一化から多元化。産業社会の振興と全体主義の駆逐を目指した。
ドラッカーは、日本では熱狂的に受容されたが、その受容のされ方も表面的なものにとどまることが多かった。本国においても、その著作は実践的過ぎて理論的な教科書として使われることは多くなかったようだ。だが、評伝を読むだけでも、ドラッカーの著作の先駆性は明らかであり、現代でもなお通じることがたくさんあるように感じる。恥ずかしながらドラッカーを読んだことがないので、少し読んでみたい。