社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

民法学

意思のけんけつ

虚偽表示の規定は権利外観法理を規定したものといわれるが、錯誤、心裡留保も外観法理に基づいているのではないか。 内心的効果意思と合致しない表示行為が行われたとき、信頼の対象となる外観(表示行為)は存在するが、外観法理の適用にあたっては、それに…

責任について

責任は、「損害を与えないこともできたにもかかわらず、損害を与えた」ことから生じると考えられる。つまり他行為可能性が根拠になっている。「損害を与えないことができなかった」場合に責任を追及しても、それ以降行為者が損害を回避しようとする動機を与…

理事の代表権の制限

一般法人法77条 4項 代表理事は、一般社団法人の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する。 5項 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。 通常の代理の場合は、取引の相手方はその者が本当に代理権を有…

情報提供義務

契約当事者間に情報収集力・情報分析力において格差がある場合、契約締結に対して当事者一方から他方へと情報を提供する義務が課せられることがある。この根拠として、情報劣位者の契約自由・自己決定権の保護、情報優位者に対する社会の信頼が挙げられる。…

民事責任と刑事責任

人を殺せば殺人罪に問われ、また不法行為責任を負い損害賠償をしなければならない。だが、これはひとつの行為に対して二重の罰を与えていて不合理なのではないか。懲役刑を受ければもうお金は払わなくても良い、あるいは、お金さえ払えば懲役刑は受けなくて…

失踪宣告の特殊性

主要事実と法律効果は異なる。主要事実とは、「原告は被告に対し、平成20年3月17日、甲土地を代金5000万円で売った。」という、法的評価の入り込まない生の事実である。それに対して法律効果は、そのような主要事実から法を介して引き出される効果…

同居の強制

大決昭5・9・30は、夫婦間の同居義務の履行について間接強制をすることは許されないとしている。その理由として、債務者が任意に債務の履行をするのでなければ債権の目的を達成できないときは、その債務は性質上強制履行を許さない、ということを挙げて…

非打算的な財産行為

身分関係は、性情的・自生的・超打算的関係といわれ、財産関係は、意思的・形成的・打算的関係といわれる。また、家族法は、固有性・倫理性・客観的規範性を備え、財産法は、普遍性・打算性・合理性・任意法規性を備えるといわれる。 婚姻の届出(739)の…

対抗要件としての登記

対抗要件とは、「既に(当事者間で)成立した権利関係・法律関係を他人に対して法律上主張することができるために必要とされる法律要件」(法律用語辞典)である。民法177条は、不動産の物権変動について登記を対抗要件としている。これはなぜか。 BがAに…