好きで仕方がないもの。
まず、石川啄木。人間が生きることの悲しさ、やるせなさを歌った。それも、非常に若々しくみずみずしい感性で。ときに衝動的で、ときに詠嘆的。
誰そ我に
ピストルにても撃てよかし
伊藤のごとく死にて見せなむ
次にACIDMAN。どこまでも肯定的で、どこまでも紳士的。生命に満ちあふれ、大きな響きの中へと聴く者を導くロックバンド。
今のところこの二つかなあ。「好きなもの」と「好きで仕方がないもの」は違う。好きなものは他にたくさんあるけど、好きで仕方がないものは限られてくる。啄木とACIDMANは対照的だけれど、どちらにもとても惹かれる。この惹かれ方が、感情を大きく抱擁するという意味で、特殊なのだ。