- 作者: 井上清
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1963/09/25
- メディア: 新書
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本書は日本史の通史であり、縄文時代から徳川幕府の鎖国時代までを扱っている。歴史書としては、事実を簡潔に記しながらもきちんと物語の体裁を整えて、読み物として面白いものに仕立てている。
井上が歴史を物語として仕立てるために使っている技法は、(1)出来事と結末との間の因果関係を示すこと(2)結末についての評価をきちんと下すこと(3)具体的事実を抽象的な趨勢の顕現として示すこと、などである。
全体を貫くテーゼとしては、日本は内発的な文明がなく、外来の文明を模倣することで発展してきたが、それは日本の恥ずべき点ではなく、むしろ日本の大いなる活力の証明である、というところだろうか。このテーゼを説得的にするために様々な具体的事例が登場するのである。