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ケアというプロジェクト

 妻の妊娠がわかってから1年がたつ。次々とやってくる新しい出来事を駆け抜けた一年だった。経験したことのない課題を一つ一つクリアしていくなんともスリリングな一年だった。これはひとつのケアというプロジェクトなのだと思う。

 妊娠している妻は体調がそれほどよろしくない。妻の体調を気遣い、それを通して胎児にも気遣う。妊娠も後期になってくると胎動がわかるようになってくる。私は妻のおなかに妊娠線ケアクリームを塗りながら、おなかの赤ん坊に声をかけたりした。ケアは身体を介したコミュニケーションだ。

 妻が出産して子供に面会に行ったとき、妻は話し相手がいなかったせいか非常に饒舌に出産の顛末を語ってくれた。私はそれをひたすら聞いて共感した。このように傾聴するということは重要なケアでありコミュニケーションであると思う。

 そして、今は育児をしている。赤ん坊はとても理不尽な存在であり、日々新しいことの発見があり、育てる親もともに育っていく。赤ん坊をお風呂に入れたり散歩に連れて行ったり、抱っこしたり、そういう身体を介したコミュニケーションが極めて重要だ。赤ん坊は近くに誰もいないと泣いてしまうので、ただそばにいるということ、視線を注ぐということがとても大事であったりする。

 今私は壮大な一つのプロジェクトに携わっている。それは子を育て上げ子が独立してからは子と良好な関係を築くという壮大なプロジェクトだ。様々な情報を収集しながら最適解を導いていく、日々学びのある壮大なプロジェクトだ。それはケアというプロジェクトでもある。身体を介したコミュニケーションが極めて重要なプロジェクトだ。これは一つの仕事のように複雑で困難でやりがいのあるプロジェクトである。