パワハラ対策の総合的な実践書。昨今のパワハラ防止法制の解説に始まり、そもそもどういう行為がパワハラになるか、パワハラの定義を解説。パワハラを生み出している社会的条件や組織の条件について説明し、ケーススタディ。ある仮定の会社でパワハラ問題が起こった時の人事部長の奮闘を具体的に書いている。パワハラの相談を受けたときどうするか、被害者の対応で注意すべきこと、被害者から話を聞く時の留意点、心の病気のサインについて、ダメージからの回復、行為者の特徴と行為者への対応、判断が困難なケース、職場での研修、被害者の話が疑わしい場合、などについて実践的なヒント満載である。被害者の復職支援、そもそもパワハラを起こさせないよう予防する際のポイントについても書いてある。
本書は企業などの管理職の方々にぜひとも読んでほしい一冊である。こういうマニュアルを読んでおかないと実際にパワハラが起こったときに迅速に適切な対応をとることができないだろう。実際に私もパワハラを受けたことがあるが、問題だらけの対応をとられて非常に不満が残り組織不信の原因ともなった。当時の管理職が本書のような本できちんと勉強していればそのような禍根を残すことはなかっただろう。被害者のあるトラブルはすごく難しいのである。ぜひとも多くの方々に読んでもらいたい。