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杉田俊介『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か』(集英社新書)

 

 異性愛の多数派男性としての「マジョリティ男性」のまっとうさ(decency)について書かれた本。マジョリティ男性は既得権益を持ち、様々な恩恵に浴している。だが、世の中には女性やLGBTなど抑圧されてきた人々もいる。そのような人々たちが声を上げている中で、マジョリティ男性は、内なる男らしさの呪縛から解き放たれ、再帰的で内省的で、たえまない揺らぎや葛藤、痛みや弱さとともにまっとうな男性であろうとすることが大事である。自らの階級性に向き合いつつ、自己変身と社会変革を求め続けていくことが必要である。

 私などもマジョリティ男性であるが、最近フェミニストなどから我々を糾弾する声が上がっているのは知っている。では、それを受けて我々としてはどうふるまっていくか。どのようなところにディーセンシーは存在するか。それについて簡潔明瞭に書かれた本である。それほど難しくなく読みやすいのでお勧めである。