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村木厚子『公務員という仕事』(ちくまプリマー新書)

 厚生労働事務次官を務めた著者による公務員入門。公務員は人の役に立つ仕事をするが、利益を生まず、収支が合わない事業でも社会に必要であれば行うところが民間企業とは違う。また、社会保障制度などにおいて、みんなが「まあいいか」という程度の最大公約数的な一つの制度を、みんなに強制的に使ってもらう仕事である。世の中のニーズを敏感に感じ取って、それを制度に変換するのが公務員である。だから公務員に必要なのは感性と企画力であり、常にアンテナを高く立て、政策立案に励んでいくのが公務員である。

 本書は、国家公務員をひととおり勤め上げた著者による、実体験に基づく公務員論であり、おそらく公務員を志す人や公務員として働いている人は、下手なビジネス書よりもまずこの本を読んで勉強するとよいのではないだろうか。著者自らが携わった仕事に関する記述は活き活きとして学ぶところが多く、公務員にとっては仕事入門といったところでとても勉強になる。いい本だと思う。