社会科学読書ブログ

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松本勝男『日本型開発協力』(ちくま新書)

 日本による途上国への開発協力について詳細に論じた本。日本の開発協力は、自由主義民主化などの価値の普及を目指す欧米や自国の経済的利益を求める新興国の開発協力とは違い、相手の立場を重んじ現地の人々との信頼関係に基礎をおいており、評価が高い。日本の開発協力は、法制度の構築から経済制度の構築、強いインフラの構築など多岐にわたっている。また、国際的な取り決めにより、援助国に有利な条件を取り付ける「タイド」支援は制限されており、その流れは強まりつつある。

 最近、いろんな本を読んでいると、日本を批判するものが多いことに気付く。確かに、日本の活動をよりよいものとするためには批判も大事である。だが、それと同時に日本の活動を適切に肯定することも大事なのではないか。批判よりも肯定の方が難しいし、有益である。本書は日本の機微をとらえた開発援助を肯定するものであり、久しぶりに元気をもらえた。日本は頑張っている。