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片田珠美『職場を腐らせる人たち』(講談社現代新書)

 精神科医が職場の問題で心を病んだ人の話を聴く中で浮かび上がってきた職場の問題点について書いた本。根性論や過大なノルマ、言われたことしかしない、完璧主義、ケチをつける、八つ当たり、特定の部署へのこだわり、相手を見下す、相手によって態度を変える、他人のせいにする、不和の種をまく、他人の秘密をばらす、悪口を言う、足を引っ張る、ストーカー化するなどの職場を腐らせる人たちを具体的に分析。背景には自己保身、喪失不安、嫉妬や羨望などの感情などがある。おとなしい人ほど狙われやすい。

 読んでいて身につまされることが多い本だった。確かに職場にはこういう人たちがいて、ひょっとしたら自分もこういう人たちの一例なのかもしれない。実際に自分がターゲットになったこともあり、防衛策はとても参考になった。一筋縄ではいかない職場という場の構造について切り込んでいく快著であり、その背後にある現代社会の諸問題が重くのしかかる。決して自分は加害者にならないように注意したいと思った。