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廣瀬陽子『ロシアと中国 反米の戦略』(ちくま新書)

 

ロシアと中国 反米の戦略 (ちくま新書)

ロシアと中国 反米の戦略 (ちくま新書)

 

  現代におけるロシアと中国との関係を詳説した本。

 中露関係は「離婚なき便宜的結婚」と呼ばれている。中露は、反米、多極的世界の維持、という点において共通の利害関係を有している。また、軍事やエネルギーなどの経済的実利においても協力関係にある。

 他方、両国が主導したい影響圏(旧ソ連、東欧、北極圏)において、中露は地政学的戦略が重なっており、対立している。中露の「蜜月」は、利害が一致する部分と相反する部分のジレンマを抱えたものなのである。

 本書は、中国とロシアとの現代国際関係史であり、そのような中国とロシアと関わっている日本の立ち位置についても論じている興味深い本である。最近アメリカや中国についての言説は多いが、ここまでロシアについて詳細に語っている新書にはなかなかお目にかからなかった。現代ロシア、現代中国について知りたくなった。