社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

前野隆司『感動のメカニズム』(講談社現代新書)

 

  感動の構造を分析し、それを商品などの開発に生かそうとしている本。人々の幸福は感動と密接に結びついている。「モノ消費」から「コト消費」へと転換している現代社会では、感動を通して人を幸せにする製品・サービスが求められている。

 商品やサービスなどが我々に与えてくれる感動は、構造分析することができる。それが「感動のSTAR分析」である。SはSense、五感で感じた後に感情の高ぶりとして感動。TはThink、知見の拡大として感じた後に感情の高ぶりとして感動。AはAct、体験の拡大として感じた後に感情の高ぶりとして感動。RはRelate、関係性の拡大として感じた後に感動。このような分析により、どのような感動を与えたいかによって製品・サービスをデザインすることができる。

 本書は感動の構造を分析することで、感動がどのようにして生まれているかを明らかにしている。この分析は優れて実践的であり、自分が何かに感動したとき、それがどういう感動かわかるし、自分がだれかを感動させたいとき、その感動をデザインすることができる。感動のない人生はつまらない、という基本思想には強く共感する。