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情報の価値

 情報は世の中にいくらでもあるのだが、特別に扱われる情報というものがある。ある情報は頻繁に参照されるかもしれないし(例えば行政規則)、ある情報は熱心に捜し求められるかもしれない(例えば書証)。ある情報は、流通がストップされ、人に知られないよう隔離されるかもしれない(例えば機密情報)。要するに情報には様々な価値があり、その価値に応じた取り扱いがなされるのである。 

 情報は民主主義の過程には欠かせない。社会で何が問題となっているか、その問題に対してどのような意見が出されているか。また、その問題を解決するために必要な知識。そういう情報が国民に広く知られていなければ、国民は選挙において主体的かつ適切に意思を表明することができない。上記のような情報は、民主主義という価値を実現するために必要なものとして価値が認められている。情報は、何らかの先行する価値の反射を受けて価値を持つことが多い。そして、その先行する価値に応じた取り扱いがなされる。

 例えば、情報公開法では、個人情報は原則不開示である(5条1号)。これは、個人情報には個人のプライバシーという先行する価値が付着していて、その価値に応じた取り扱い、すなわち流通の制限が必要だからである。