社会科学読書ブログ

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キア・ミルバーン『ジェネレーション・レフト』(堀之内出版)

 

 世界の若者たちの左傾化現象について述べた本。若者たちは上の世代との世代間格差に気付いている。若者たちはもはや上の世代のような潤沢な生活を送れないし、気候変動などの危機も上の世代から若い世代に渡された負の遺産だ。もはや新自由主義経済の資本の論理は維持しがたく、資本主義を撤廃する左翼運動が活発化している。そうして左派ポピュリズムや気候ストライキなどが起こっているのである。

 本書は主にヨーロッパにおける若者たちの左傾化の運動について概説しているが、世代間格差は同じように日本にも存在している。日本の若者たちも左傾化してもよさそうなものだが、日本の若者たちは自民党支持が根強いという。上の世代からは大学で遊びまくったとか酒と女で遊びまくったとかいう「武勇伝」を聞かされることがままあるが、今や若者たちにはそんな余裕はない。上の世代は気候変動危機や国家の負債などの負の遺産を若い世代に押し付けてしまった。日本の若者たちにも十分訴えかけてくる本だと思う。