社会科学読書ブログ

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 law schoolの位置づけというものが、私は結局よく分からなかった気がする。分からないまま卒業してしまった。「理論と実務の架橋」とは言うけれど、理論と実務がそんなにスムーズに接続されていたかは疑問である。むしろ、law school生は、理論と実務の間で引き裂かれていたのではないか。一方では基本書をよく読めとか学説をよく理解しろとか言われ、他方では通説判例を覚えて試験で高得点を取るように要求される。法律学の体系的理解と、通説判例の提示する規範に具体的事実をあてはめて結論を出すことは、表面的には別の次元のことのように思える。だがそうでもないのだろう。実務の実態をよく知らないので断定はできないのだが、たぶん理論と実務を架橋するのはリーガルマインドだ。理論教育でリーガルマインドが涵養され、それが実務で生かされるのだ。リーガルマインドとは、法律的な思考方法であり、例えば権利者らしい外観を備えていれば権利が推定されることが多い、とか、そういった法律の規定のあり方についての大まかで本質的な理解である。law schoolは理論教育でリーガルマインドを涵養し、一方で実務教育でそのリーガルマインドの働く地平を示し、リーガルマインドの備わった実務家の養成を目指す。と、ひとまずは納得してみる。