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声をかけるということ

 家庭でも仕事でも、様々な場面で相手に声をかけることが大事だったりする。それは、あなたに配慮しています、あなたに関心があります、あなたを気にかけています、そういうことを示すシグナルだからだ。

 例えば育児中の妻が元気がないとする。どうやら幼児食にてこずっているようだ。そこで、「食事に時間がかかるの?」と質問してみる。すると、妻は「毎回1時間くらいかかるのよね。疲れちゃって。」というように、自分の悩みを打ち明けてくれるかもしれない。そのようにして、相手の言葉を引き出すことにより、互いに良い気持ちになり、相手は溜まっていたうっぷんが晴れるかもしれない。

 例えば仕事で書類が回覧されてきたとする。少し内容で確認したい点があったら、書類の作成者に声をかけてみる。「これはこういうことですよね。」「けっきょくこうなったんですか。」書類の作成者は自分の仕事に関心を持ってもらったことで喜んで答えてくれるだろう。

 また、仕事で自分が上の立場、例えば文書を審査する立場になったとする。そのとき、文書を持ってくる人はとても緊張していたりする。そんなとき、明るい口調で質問したり、終わった後に「お疲れ様です」と一声添えるだけで相手の気持ちはだいぶ和らぐ。

 大事なのは相手が求めている言葉をさりげなくかけることである。人は対話を求めているし、自分に関心を払ってもらいたいし、自分をねぎらってもらいたい。そういう相手の隠された欲求に応えるようにこちらから声をかけることにより、家庭や仕事はより円滑に回っていく。余計な言葉をかける必要はないが、相手が求めている言葉をかけることにより、相手から言葉を引き出すことができるし、お互いにとって良い関係を築いていく営みとなるのである。