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阿部恭子『加害者家族を支援する』(岩波ブックレット)

 加害者家族を支援する団体として国内初となった「World Open Heart」を設立した阿部恭子による加害者家族論入門。加害者家族は「隠された被害者」であり、何の罪もないのに世間から責められ、賠償金を支払ったり転居を余儀なくされたり嫌がらせを受けたりする。交通事故では在宅事件になることが多く、そうすると加害者が心理的に追い詰められることで家族も同じ悩みを抱き、家族総倒れになって家族関係が悪化することが多い。加害者は精神的な悩みについて医療機関を受診した方がいい。

 阿部はもともと被害者家族について研究していた人間である。だが、研究が進むにつれ、加害者家族について問題意識を抱き、日本初の加害者家族支援団体を作り上げた。日本ではまだまだ加害者家族を支援する制度が未整備であるが、これからどんどん整備されていくことを祈っている。加害者家族には本当に何の罪もない。そのような人々が苦難に直面することは耐えがたいほどの心の痛みを感じる。加害者は罪を犯してはいけなかったのである。家族を巻き込んだことについて十分反省する必要がある。