社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

毛内拡『「頭がいい」とはどういうことか』(ちくま新書)

 脳科学の見地から頭の良さについて説明。教育分野ではアートの重要性が再認識され、社会情動的スキルやコミュニケーション能力、共感力、創造性を育成し、新奇体験を通じて多様性への理解や寛容さを育むことを目指している。アストロサイトと呼ばれるグリア細胞は、脳の老廃物除去や脳内環境の維持、情報処理への積極的関与などを行い、脳の健康と機能において不可欠である。頭脳の発達や知性の進化において重要な役割を持っており、IQの高い人の脳にはアストロサイトの数が多い。

 シナプスの結合が可塑的に変化することで頭の良さが作り出されていると思っていたが、近年ではそれだけではなくアストロサイトの重要性に注目されているようだ。この点についての知識がなかったので、私にとってはとても勉強になった。脳内環境全体が頭の良さに関わっているというのが正しい理解なのだろう。脳はシナプスだけで出来上がっているのではなく、それを取り巻く環境全体で機能している。