社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

石井あらた『「山奥ニート」やってます。』(光文社)

 月々18,000円の生活費で、山奥でニートたちが15人ほど暮らしている。そのNPOをやっている著者の実体験。高齢者が少しだけ暮らす限界集落で、廃校に暮らすニートたち。家賃はゼロで、食費などで月々18,000円かかるに過ぎない。あとは、農産物のおすそ分けを受けたり、ブログで収入を得たり、また最低限バイトをしたりして、好き勝手暮らしている。このニートたちはなるべく働かず、やりたいことをやって暮らしている。彼らの生活にはテレビから取材が来たり、泊まりたいと体験宿泊を申し込んでくる人も多いという。近未来来るであろう社会の姿があるのかもしれない。

 都会だと生活するのにお金がかかる。だが、限界集落ならほとんどお金がかからない。しかも、社会で傷を受けた人たちのセーフティネットにもなっている。実際著者自身も教師になろうとしたが挫折してニート生活を始めたようだ。ニートの生活はそれなりに充実しているし、エコだし、不本意かもしれないが場を活性化させている。このような書籍が出版されることで思想的な影響も生じる。ある意味創造的な生き方をしているわけで、最近こういう今までの枠組みではとらえられない生き方をしている人が増えている気がする。