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千々和泰明『世界の力関係がわかる本』(ちくまプリマー新書)

 国際政治学入門。戦争のきっかけは大きく二つに分けられる。一つは、自国が弱みを抱えていて、やらなければやられるから仕方なくやるという「脆弱性による戦争」。もう一つは、チャンスがあれば積極的に攻撃を仕掛けていこうとする「機会主義的戦争」。脆弱性による戦争を防ぐには安心供与、機会主義的戦争を防ぐには抑止が有効である。また、現代の国際世界を安定させているのは核抑止であるが、これにも難しい問題がある。

 いろんな戦争を分析する際の理論枠組みがしっかり提示されているし、力の均衡や帝国の問題など、国際政治学の基本となるところがしっかり押さえられている。これは国際問題について考える際の非常に有効な手掛かりとなると思われるので、国際関係論などになじみのない人にお薦めするのにちょうどよい本だと思う。