社会科学読書ブログ

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角野然生『経営の力と伴走支援』(光文社新書)

 中小企業の経営改善の手法としての伴走支援について簡潔明瞭にまとめた本。著者は、東日本大震災以降、被災した福島で中小企業の事業再建に努めた。その際に取った手法が伴走支援であり、経営者と対話と傾聴を重ねることで、信頼関係を構築したうえで企業が抱えている隠れた課題をあぶりだし客観化し、経営者が自己を変革していく手法である。この伴走支援の手法は全国的に展開されていった。

 対話と傾聴という言葉は、最近ケアの文脈で論じられることが多かったが、経営の文脈においても重要であることが説得的に論じられている。課題を抱えた企業の経営者には、まず心を開いてもらうことが必要だ。そのために、ひたすら相手の言うことを聴く。そして必要最低限の意見を言う。そうすることで相手は心を開き、自分のことを客観視できるようになり、気づいていなかった課題に気付くようになる。とても良い本を読んだ。