立法・司法・行政いずれの国家機関であっても、それが国民の信頼を得るためには二つのファクターが必要だと思う。
(1)実際に公正なことをやっていること
(2)何をやっているか国民に正確に伝わること
不公正なことをやっていることが国民に伝われば、国民の信頼は失われる。公正なことをやっていても情報が正確に開示されていない疑いがあれば、国民は、本当は不公正なことをやっているのではないかと疑いを抱く。
公正なことをやっていて、それがきちんと国民に開示されるとき、国民は国家に信頼を抱く。裁判公開制度も結局はそのための制度だ。だが恐るべきことに、(1)(2)の両要件がともに満たされないときもまた、国民の国家に対する信頼が生じる場合がある。つまり、国家は不公正なことをやっているのだが、それが開示されるシステムがなく、逆に国家が自分が公正なことをやっていると虚偽の情報を流す。このときも、国民は国家を信頼する。信頼の根拠はないわけだが。