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長期的に

 どうやら治ったと思っていた風邪がぶり返したようです。昨日は何もせず休んでいました。今日も思い切って休もうと思います。長期的に見れば治すときにきちんと治しておいたほうが良いからです。何もしないことには、罪悪感やら、もったいない気持ちやら、あれもこれもしなきゃという義務感やら、そういう対抗要素が伴いますが、それらに対抗してあえて休むということを根拠づけているのが長期的利益考量です。

 ですが、僕はこの「長期的な」視点というものがいまいち実感できていません。なぜなら、長期的な目標を設定して、実際にその目標が達成されたころには、それまでの積み重ねが忘れられているからです。一日何かをして、その為したことによって何かが実現された場合、その為したことと実現されたことの因果関係を認識するのはようです。ですが、長い間積み重ねたことと、実現されたこととの間の因果関係を認識するのは容易ではありません。過去の特定の為したことが現在の状態につながっているのでしょうが、その過去の特定の為したことというものをもう忘れているから、現在の状態との因果関係を設定できないのです。

 また、長期的な視点というものは、未来という不確実なものを見ているので、その計画の確実性が担保できていません。仮に今日休んだからと言って、本当に長期的に見てよい状態が実現されるかというと、それはよくわかりません。長期的視点というものは未来予測だから、かなり不確実であり、求める結果の実現も不確実で、いまひとつちゃんとした計画を立てた気にならないのです。「今日はこれをやる」という程度の未来的計画は確実ですが、長期的視点はそれほどの確実性を備えていません。

 長期的な計画を立てても、その計画の目的を実現したころには過去のことは忘れていて為したことのそれぞれの段階と実現された結果との因果関係の認定は困難です。また、長期的な計画は結果の実現の点において不確実です。だから、僕は長期的な視点によって何事かを為し得たと確実に実感することがこれまでにあまりなかったような気がします。