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山形辰史『入門 開発経済学』(中公新書)

 

 開発経済学の入門書。世界中のだれもが貧困や戦争、伝統的文化などで「理不尽な悲惨さ」に直面しうる。特に経済的に発展していない国ほど「理不尽な悲惨さ」が多い。これを少しでも改善するために、物質的改善や社会制度の変更を試みることが開発である。「理不尽な悲惨さ」に直面する当事者に手を差し伸べることが広い意味での開発である。開発は外部からの介入なので慎重さが求められる。当事者が求めているものを慎重に見極めなければいけない。雇用、職業訓練、緊急支援、技術革新、技術移転、品種改良、農産品の商業化、産業政策、投資誘致、輸出促進など手段はいろいろある。

 本書は開発経済学の入門書である。書かれてある内容はそれほど難しくなく、一般的な教養でカバーできるかもしれない。だが、そもそも開発経済学とはなんであるかという基本から理解するのは大事だ。そもそも「開発」とは何であり、そのためにどんな手段が用いられるのか。その開発経済学の思想の部分について学ぶところが大きかった。