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不祥事について

 不祥事が起きると、不祥事を起こした当人が制裁を受けるだけでなく、その当人の所属する組織などのイメージが悪化する。不祥事が起きた場合、それが組織に所属する者の行いであるならば、組織は謝罪や懲戒などの対応に追われ、通常業務に大きな支障をきたす。だから不祥事はなるべく予防したいものである。

 不祥事に限らず、およそ出来事というものには必ず原因が複数ある。不祥事はその起こした当人をめぐる複雑なシステム、複雑な構造の帰結として起こるものであり、決して本人の悪性格だけに帰責できるものではない。

 例えば、ある人が電車内で酔っ払って他の乗客に絡んで相手を侮辱してしまった、という事例を考えよう。この場合、その人はそもそも酒癖が悪いのかもしれない。だが、酒癖の悪さだけでこの事案を説明し尽くすのは無理である。ではそもそもその人はなぜその日に酒を飲んでいたのか。そして、なぜ相手を侮辱するところまでエスカレートしてしまったのか。その日はたまたま職場あるいは家庭で嫌なことがあって憂さ晴らしで酒を飲んでいたのかもしれないし、職場あるいは家庭でストレスが蓄積することがあって、そのはけ口として相手を侮辱したのかもしれない。また、絡んだ相手も電車内でのマナーがなっていなかったのかもしれない。職場や家庭でのストレスに酒癖の悪さと相手のマナーの悪さが相まってこのような事態が生じたのかもしれない。

 このように、出来事を複数の原因による構造的でシステム的な帰結として捉えることが大事である。そうすると、複数の原因のうち組織で対応できるのはどの原因であるか見えてくるはずだ。上の仮定された事例だと、職場でのストレスについてはとりあえず組織でも対処できそうである。場合によっては、その人との面談によって家庭でのストレスも聞いてあげることができるかもしれない。

 職場でのストレスについては、職場環境の改善や風通しのよさの確保、メンタルヘルスへの配慮など様々な対策ができる。それは、職員同士の親密なコミュニケーションや、管理職と職員との面談などで対処できる問題である。

 結局、不祥事は複数の原因が構造的に絡まった帰結として起こるので、その構造を分析して、原因を洗い出し、組織として対応できる原因については十分対応するというくらいのことしかできないと思う。その他、本人の悪性格や相手方の悪性格についてはどうすることもできないので、組織としてはその悪性格を助長するような構造的要因を取り除くことに注力すべきであろう。

 とにかく、不祥事については背後にある構造的で複雑に絡み合った複数の要因を洗い出し、それらの要因のうち組織として対処できるものについては十分対処したと胸を張って言えるようにしておきたいものである。そうすれば組織のイメージダウンも防げるのではないだろうか。